――酒井さんは、リベラルアーツ学群で文学を学びながら、文学好きな学生・教員が集まる「桜美林文学会」にも所属しているんですよね。文学尽くしな大学生活ですが、もともと文学を学ぼうと思っていたんですか?
酒井さん いや、ぜんぜん!リベラルアーツ学群でいろいろな分野の授業を受けるなかで、文学の勉強をしてみたいと思うようになったんです。
――というと?
酒井さん リベラルアーツ学群って、1年生のころに人文・社会・自然・統合の4領域のプログラムをすべて取らなければいけないんです。その半強制的に自分の興味のない学問を学んだのが、私には合っていたみたいで(笑)
――ほうほう。
酒井さん もともと学びたい学問が定まっていなかったので、まったく興味がなかった物理学の授業をなんとなく取ってみたんです。
物理学の先生って、当然物理が好きじゃないですか。だから物理学の魅力を語るのがとてもうまいんですよ!
「ゲームでルールを知ることは大事でしょう?物理はこの世界のルールだから、そのルールを知っておくことは生きるうえで大事なんだよ」って教えてもらって。それを聞いて、「すごいおもしろいじゃん!」って思ったんです。
私は理系が苦手なので成績はあんまりでしたけど(笑)、リアクションペーパーはびっしり書いて提出していました。「今日の授業、感動しました!」って。
酒井さん その授業がきっかけで、「私も先生みたいに自分が好きなものを分析して、その魅力を言葉にして、誰かに伝えらえるようになりたい」と思って、文学を学ぶことにしたんです。
――「魅力的な学問を学ぶ」のではなくて、「なぜその学問が魅力的なのかを伝えられるようになりたかった」と。
酒井さん そうです!
――なるほど〜。好きなものの魅力を言語化できたら、世界が広がりそうですよね!
酒井さん はい。たとえば、動画サイトなどでアーティストのMVを考察している人がいるじゃないですか。「ここの歌詞の意味はこうだ!」「このシーンはこの曲のこことつながっているんだ!」とか。
それができるのって、ものごとを捉える解像度が高いからだと思うんです。それが私もできたら、楽しいものがもっと楽しくなるんじゃないかなって!