コラム

博物館から社会を知る!?金子淳先生&先輩にリベラルアーツ学群の学びについて教えてもらおう!

人文・社会・自然・統合の4領域!合計プログラム数は30個!

大学で学べるほぼすべての学問領域を網羅しているリベラルアーツ学群では、自分の興味関心に合わせて、自由に学びの選択ができます!

 

リベラルアーツ学群4年生の狩野さんと榊原さんは、
まさに学問の領域を超えて、自分だけの学びを実践している先輩たち。

 

今回は「金子先生の授業&ゼミを受けてよかった!」と太鼓判を押す先輩ふたりと金子淳先生による、リベラルアーツ学群トークセッションです!

 

「金子先生は何を研究してるの?」
「なんで金子先生の授業を取ったの?」
「ゼミのおもしろさってなに?」などのトークテーマから、
“リベラルアーツ学群のリアル”を紐解きます!

目次
  • 博物館と郊外・ニュータウンの研究??
    先生、わかりやすく教えてください!
  • 桜美林生に質問!先生の授業やゼミは
    どんなところがおもしろいの?
  • 金子先生のゼミでは
    どんなことをしてるの?
  • 金子ゼミはどんな雰囲気?
    どんな学生に向いてるの?
  • 「金子ゼミが気になる!」
    そんな方へメッセージを!

リベラルアーツ学群とは?

人文・社会・自然・統合の4領域、合計30の学問分野からなるプログラムを用意しており、大学で学べるほぼすべての学問領域を網羅しています。多様な領域を学び、総合する力をつけることで学問分野の壁を越える多角的思考、幅広い視野のもとで意味を問い直す批判的思考、課題解決に向けて能動的に活動する実践的思考を身につけ、物事を的確に判断し、解決に導く力を養います。

【インタビュー対象者の紹介】

名前:金子 淳
学群:リベラルアーツ学群
専門:博物館研究、郊外・ニュータウン研究
主な担当科目:博物館経営論、博物館情報・メディア論、文化政策論ほか

名前:狩野さん
メジャー:リベラルアーツ学群 統合領域 地域デザインプログラム
マイナー:リベラルアーツ学群 社会領域 文化人類学プログラム
学年:4年生(※2024年度現在)

名前:榊原さん
メジャー:リベラルアーツ学群 統合領域 地域デザインプログラム
マイナー:リベラルアーツ学群 人文領域
コミュニケーション学プログラム
リベラルアーツ学群 統合領域 博物館学プログラム
学年:4年生(※2024年度現在)

博物館と郊外・ニュータウンの研究??
先生、わかりやすく教えてください!

―― 金子先生はどんな研究をしているんですか?

  • 金子先生

    研究テーマはふたつあります。

     

    ひとつめは、博物館に関する研究です。博物館というのは、教育研究機関として文化や歴史をモノで表現し、多くの方に学びの機会を提供している場所。この“文化や歴史を表現する”って、実はとても難しいことなんです。

     

    たとえば、日本文化を海外の方に知ってもらうとしたら、どの部分を伝えたいと思いますか?

―― ん〜、茶道や華道など世界に誇れる伝統文化があること、でしょうか?

  • 金子先生

    うんうん!それもありますね!ほかにも、和食とか富士山、京都、浅草のような、いわゆる“日本らしい”文化遺産を思い浮かべる人もいるかもしれません。

    でも、日本のことを伝えるとしたら、このような伝統文化以外にもたくさんあります。たとえば、漫画やアニメ、満員の通勤電車、街中に張り巡らされた電線、メイドカフェのような、現代日本を象徴する文化や風景なども挙げられるでしょう。もちろんこれだけではありませんね。

     

    つまり、文化というのは多面的で、すべてを表現することはできないのです。必ずどこかを意図的に切り取って見せるしかありません。しかし、切り取ることで別の何かが隠れてしまいます。博物館の展示においても同様です。ひとつの文化や歴史を展示によって伝えるとき、そこには表現されない何かが隠れている可能性がある。

    博物館学のアプローチでは、「この展示では文化をどのように伝えようとしていて、どの部分が隠されているのか」と考えます。このようなことを探求しながら、博物館と社会との関係性を学んでいきます。

     

    ふたつめは、郊外・ニュータウンの研究です。ニュータウンとは、新たに計画的に建設された大規模な住宅地のこと。みなさんが住んでいるまちの近くでも「知らない間に土地が造成されて、気づいたら住宅地ができていた!」なんてこともあるのではないでしょうか。

―― たしかに!経験あります!

  • 金子先生

    ニュータウンの建設は、“何もないところにいきなり新しい街ができる”ように思われがちですが、もともとその土地には人が生活していて、伝統的な文化があったはずです。ところが、ニュータウンの建設によって新しい住民が移り住むようになると、既存の地域社会に大きな影響を与えます。「もともとの地域文化はどのように変化したのか?」「伝統的な文化はどのように継承されるのか?されないのか?」といった観点から、ニュータウンのもつ社会的・文化的な背景を研究しています。

     

    このような研究テーマが、桜美林大学での「地域デザイン」の教育にもつながっています。

桜美林生に質問!先生の授業やゼミは
どんなところがおもしろいの?

―― 狩野さんと榊原さんは、金子先生が専門とする「地域デザインプログラム」をメジャーにしてますよね!金子先生の授業を受けようと思ったきっかけは?

  • 狩野さん

    私はもともとまちづくりに興味があったので、地域デザインの授業を受けました。自分の経験や実体験を交えながら学べる地域デザインは、自分の生活に身近な学問であることを実感し、もっと知りたいなと思って、地域デザインをメジャーにしたんです。

  • 榊原さん

    私は博物館や動物園が大好きで!実は動物園って博物館の仲間なんですよ。それで博物館学の授業を見つけて。興味があるし、博物館学芸員の資格も取得できるということで、せっかくなら金子先生の他の授業も受けてみようと思ったんです。

―― おふたりは、金子先生のゼミにも入っていますよね!

  • 榊原さん

    はい!金子先生の「博物館情報・メディア論」で扱っていた「昭和ノスタルジー展示」というテーマの授業がおもしろかったのがきっかけです!

―― 昭和ノスタルジー展示ってなんですか?

  • 榊原さん

    その授業では、昭和30年代をテーマにして懐かしさを醸し出すような展示のことを「昭和ノスタルジー展示」と紹介していました。昭和30年代というと、「経済的には貧しいけれど、みんなで未来に向かって一生懸命に努力をしていた時代」というイメージがあります。

     

    私も最初は素敵な時代だと感じていたんですが、実は昭和30年代って、たとえば食品添加物が原因で健康被害が起きたり、四大公害病が社会問題になったり、少年犯罪が激化したりと、さまざまな負の側面がたくさんあったそうです。しかし、その昭和ノスタルジー展示では、そのような負の側面を一切出さないんです。

―― そうだったんだ…。

  • 榊原さん

    これは結果的に「負の側面」を隠していることになるし、「偏った昭和30年代観」の形成に繋がってしまうんじゃないか?ということを、金子先生が教えてくれました。こういう批判的なものの見方や考え方をさらに学びたいと思って、金子先生のゼミに入ったんです。

―― それではズバリ、金子先生の授業で身についたことは??

  • 榊原さん

    金子先生は、ものごとをプラスの面だけじゃなくて、そこに伴ってくるマイナスの面を必ず取り扱ってくれるんです。批判的な考え方や隠されていた事実を知ることで、自分自身も目の前の出来事に対して「本当にそうなのかな?」と立ち止まって考える視点を持てるようになりました。

  • 狩野さん

    私も榊原さんに同感です!博物館の展示を含めて、世の中に発信されているものすべてが事実であるわけではないんだという発見がありました。批判的な考え方ができる視点を持てたことで、自分の視野も広がりました。

  • 金子先生

    まさにふたりが学問や研究のおもしろさを代弁してくれましたが、そもそもリベラルアーツ学群は、複数の学問分野を学ぶことで、ひとつのものごとを多角的なアプローチから捉えて批判的に判断する力を身につけることを大きな目的としています。

    博物館というひとつの対象に対して、歴史や経済、社会、環境といったさまざまなアプローチをする博物館学は、まさにリベラルアーツ的な学びができる学問であり、おもしろいポイントだと思います!

金子先生のゼミでは
どんなことをしてるの?

―― ゼミの活動内容を教えてください!

  • 金子先生

    ゼミとは、正式には「専攻演習」といい、3年生で履修します。金子ゼミでは、文献を読んで要約し、発表して、議論するというワンセットをひたすら繰り返しながら、博物館や文化遺産と社会との関係性について学んでいきます。難しい文献って、ただ読んだだけではすぐには理解できないんですよね。だから、文献の内容を要約して頭に入れてから、発表してみんなと議論することで理解が深まるし、文献の読解力もつけることができるんです。

―― 文献を読んで、要約し、発表して、議論する…。ひゃー!考えただけでも大変そう!

  • 金子先生

    大変だと思います(笑)。とくにゼミ論文を書くという行為は、孤独な作業ですしね。でもだからこそ、私のゼミでは、各自の進捗状況をお互いに確認しながら進めています。ある学生が悩んでいたらみんなで話し合って、「こういう見方をすればいいんじゃないか」「こうやって次に進めばいいんじゃないか」とみんなで助け合っています。

  • 榊原さん

    毎回発表した後は、みんなであーでもないこーでもないと議論しあうのが楽しいんですよね。

  • 狩野さん

    そうそう。今振り返っても「あんな議論で盛り上がったなぁ」とか。

―― ちゃんと議論ができる雰囲気があるっていいですね。

  • 金子先生

    そうですね。最初は私が提示した文献を読んでもらいますが、その後はそれぞれ自由にテーマを設定してもらうから、より議論が深まっていくというのもあると思います!二人は4年生なので、今は卒業論文をまとめている最中なんだよね。

―― なるほど!狩野さんと榊原さんは、どんなテーマを研究してるんですか?

  • 榊原さん

    私は「オーバーツーリズム」について研究しています。地域に観光客が訪れて経済を回すことは、本来地域にとっていいことなはず。でも、観光客が増えすぎることで、地域にも悪い影響を与えてしまいます。では「オーバーツーリズムを改善して、本来の観光のあり方に近づけるためにはどうすればいいのか?」を卒業論文にまとめる予定です。

  • 狩野さん

    私は「都市型の芸術祭がまちづくりにもたらす有効性」についてまとめる予定です。もともと公園や歩道などに設置される「パブリックアート」をテーマにして研究していたんですが、地域と密接に結びつきながら開催される「芸術祭」の方が、地域への影響力や地域活性化への動きがよく見えるのではないかと考えるようになって、研究テーマを変えました。

    研究の一環として、今年は長野県の芸術祭へ行こうと思っています!

―― おもしろそう!他にはどんなテーマが?

  • 金子先生

    エコツーリズムやバーチャル展示、戦争展示、無形文化財などなど…。他にも、震災復興のためにアイドルが被災地を訪れたりしますが、エンターテイメントが震災復興にどのような役割を果たしているかをテーマにした学生もいましたね。

    あと、カプセルトイと地域活性化の関係に注目した論文もありました。カプセルトイの課題や今後の展望についてみんなで議論したんですが、「ご当地ガチャ」として可能性を秘めていたのはおもしろかったですね。

  • 榊原さん

    意外でしたよね!

  • 金子先生

    私のゼミは、仲間がいることを実感できるのが大きな特徴だと思っています。同じようなことに興味関心をもっている仲間がいるというのは、何ものにも代えがたいことだと思うんです。そんな空間で、自分で決めたテーマをとことん掘り下げて、新しいことを知るって、さらに楽しいですよね。

     

    学生には学問をする楽しさをぜひ知ってほしいし、単に言われたことをそのままやるだけではなくて、自分で考える力を身につけてほしい。きっとその学びは社会に出ても十分に役に立つことだと思います。

―― 桜美林大学大学祭では、ゼミ展示も行っているそうですね。

  • 金子先生

    はい。毎年大学祭で研究成果の発表をしています!

  • 狩野さん

    焼きそばの屋台とかではなくて、金子ゼミは本当に真面目な内容の展示です(笑)。

  • 金子先生

    真面目だよね、本当に(笑)。2023年度は「世界遺産の光と影」をテーマにしました。世界遺産に登録されることは必ずしも「良い面」(=光)だけでなく、弊害(=影)が生じる場合もあります。このような「負の側面」にも注目しようという展示でした。

大学祭での展示内容をまとめたリーフレットも、読み応え抜群!

  • 榊原さん

    夏休みにみんなでパネル制作をしたのは、いい思い出です!

金子ゼミはどんな雰囲気?
どんな学生に向いてるの?

―― 金子ゼミって、コツコツ真面目にがんばれる学生が多いのかなって印象を受けました。

  • 榊原さん

    わきあいあいとした雰囲気だけど、根は真面目な人が多いですね。

  • 狩野さん

    割と自由な人も多いです!

―― どんな学生に金子ゼミに入ってほしいですか?

  • 金子先生

    いろんなことに関心を持てる人は向いていると思いますね。身近なものごとでも、関心があれば「これはなんだろう?」と深く知りたくなりますよね。関心を持てるというのは、学問の出発点になります。

     

    あとは、“違和感を持てる人”。学問というのは、「その対象が好き」というだけでは深めることはできません。「これちょっと違うんじゃないの?」「このまま受け取っていいの?」といった違和感の正体を、学問的なアプローチを使って突き止める、つまりは深く考えることで、研究につながっていきます。

「金子ゼミが気になる!」
そんな方へメッセージを!

―― リベラルアーツ学群を検討している方へ、メッセージをお願いします!

  • 榊原さん

    私は高校3年生のころ、大学に進むか専門学校に進むかで、すごくすごく悩みました。入学当初は、「桜美林大学を選んだのは本当に正解だったのかな」と不安を感じたこともあったんですけど、4年生になった今は一切後悔をしてないって素直に思います。

     

    だって、専門学校を選んでいたら知らなかったであろう価値観や学問に、桜美林大学でたくさん出会うことができたんです!進路で悩んでいた自分に「出会うことすべてに意味があるから、自分の素直な気持ちを信じて選択してね」と伝えたいです!

  • 狩野さん

    4年間、桜美林大学で学んで、高校生のときとは視点が大きく変わりました!それは桜美林大学だから得られたことだと思うので、私も全く後悔はないです。そして金子先生のゼミに入ってよかったなと思っています!

  • 金子先生

    大学の醍醐味は、やっぱりゼミだと思うんです。ゼミに入らないという選択もあるでしょう。でも自分で課題を設定して、とことん調べて、それをゼミ論文として形にする。孤独な作業だけど、自分と同じ興味関心を持った仲間と一緒にがんばれるのがゼミの良いところです。金子ゼミでみなさんを待っています!