コラム

プロのような舞台を目指して。ミュージカルOPAL『舞台に立ちたい』の裏側を、芸術文化学群の出演者&先生が本音トーク!

表現者を目指す学生たちにとって、「桜美林大学パフォーミングアーツ・レッスンズ(通称OPAL)」はまさに桜美林大学で学ぶ醍醐味。演劇、ダンス、京劇とさまざまな形で舞台表現を追及してきたこのプログラムに、今年からミュージカルが加わりました。
 
9月に上演された記念すべき第1回ミュージカルOPAL『舞台に立ちたい』では、9人のキャストが観客を魅了。公演までの道のりは?本番を終えたいまどんな気持ち?
 
舞台に立ったキャスト3人と、総合演出を担った國友先生に、振り返りトークをしてもらいました!

目次
  • OPALへの出演は、学生にとっての登竜門
  • 先生と学生、それぞれが作品に賭けた思い
  • 厳しい稽古の先でつかむもの
  • 高め合いながら、自分だけの持ち味を見つける
  • これからも、もっと良い表現を追いかけて

山本 真凜さん
芸術文化学群音楽専修の4年生
外部の養成所で学ぶため1年間の休学を経て、今年大学に復帰。芸術文化学群のパンフレットの表紙モデルもつとめている。

長崎 絵子さん
芸術文化学群演劇・ダンス専修の4年生
幼少期から地元の劇団やキッズミュージカルで舞台経験を積む。2年生時に京劇OPALにも出演。

徳差 碧姫さん
芸術文化学群演劇・ダンス専修の2年生
幼少期からバレエやミュージカルダンスを習う。今作で演技初挑戦、振付にも参加。

國友 淑弘先生
芸術文化学群特任講師
昨年までは音楽専修のプログラムを受け持っており、今年から演劇・ダンス専修の講師として着任。音楽学におけるゴスペルのルーツである「黒人霊歌」研究の第一人者。演者として合唱・オペラ・ミュージカルと幅広くキャリアを積み、劇団四季でも活躍した経験を持つ。

OPALって?
 
桜美林大学芸術文化学群演劇・ダンス専修がプロデュースする舞台公演の名称であり、学生がプロの演出家・振付家と協同し、演劇やダンスの作品を創作・上演するもの、発表会レベルを超えた質の⾼い舞台公演を⽬標に、プロの演出家・振り付け家・スタッフの指導のもと、出演者とスタッフの学⽣が⼀丸となり、本格的な劇場で上演を⾏います。
 
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OPALへの出演は、学生にとっての登竜門

ーー改めて、そもそもOPALとはどんなものなのでしょうか?
 
絵子さん すっごく簡単に言うと、演劇・ダンス専修が授業の一環として主催する大きな舞台、です。
 
國友先生 専門の先生のもと、出演者はもちろん、公演の企画・運営などの制作や照明・美術などの技術スタッフもすべて学生が担当します。公演を通して、プロと変わらないレベルまで学生を引き上げるねらいがあるんです。

キャスト・スタッフの学生たちが一丸となって舞台をつくる

絵子さん 私たち芸術文化学群の学生の中では、「OPALって格がある」ような気がしていて。オーディションもありますし。それに受かって、厳しい稽古期間を耐え抜いて出たという点で、ちょっと箔がつくという感じがあります。
 
ーーひとつの舞台を披露するまでに、どんなプロセスがあるんでしょうか?
 
國友先生 日程とホール、何のOPALをやるのか(今回であればミュージカル)が先に決まって。キャストはオーディションですね。今回の演目は登場人物が3人で、3班に分けたので、キャストは9名です。
 
5月頃にオーディションをして、6月終わりくらいから土日に稽古をはじめて、7月に授業が終わった頃からはもう、13時から21時まで稽古。それを週7日ですね。
 
ーー週7日!
 
真凜さん でも、がっつりやった稽古期間は1カ月ちょっとくらいですね。
 
絵子さん もっと稽古期間が長いOPALもありますよね。オーディションから本番までが1年くらいあったり。逆に言えば、2週間くらいで稽古をつける公演もあります。

先生と学生、それぞれが作品に賭けた思い

ーー今回の『舞台に立ちたい』という演目は、どのような意図で決めたのですか?
 
國友先生 もともとは別の演目を考えていたんですよ。ですがオーディションの結果を受けて、女性キャストのみの作品に変更しました。
 
舞台を目指す若い女性3人が研修所で出会ってから10年間の、それぞれの成長を追った物語。オーディションに受かった彼女たちにちょうど合うと思ったんです。
 
大きなセットや舞台装置がなく役者の力だけで表現をしていくという点も、学生たちの勉強になるなと思って選びました。

『舞台に立ちたい』本番の一幕

ーー出演された皆さんは、なぜオーディションを受けようと?
 
碧姫さん 子どもの頃に通っていたダンススタジオの発表会で、よくミュージカルダンスを披露していて。そのときからミュージカルへの憧れと、「舞台に立つことが楽しい」っていう感覚があったんです。
 
大学には主にダンスを学びたくて入ったんですけど、2年生になって「國友さんがミュージカルOPALをやる」って聞いて、「これはやらないと!」って(笑)
それこそ、「舞台に立ちたい!」と思ってオーディションを受けました。

真凜さん わたしは2年の途中から本格的にミュージカルの勉強をはじめて。3年生の1年間は、國友さんからレッスンを受けました。
 
3年生が終わり、進路を決めるタイミングで、養成事務所のオーディションに受かったんです。1年間休学をして、レッスンをみっちり受けて…めちゃめちゃしんどかったんですけど、「やっぱりミュージカルをやりたい」と気持ちが固まって。
 
ちょうど同じ時期に、この『舞台に立ちたい』っていう作品を音楽専修の発表で同期の子たちが演じているのを観て、「すごくいいな」と思ってたんです。
 
それで今年、この公演の話があったので。迷うとかはなく、オーディションを受けました。

絵子さん わたしは子どもの頃に市民ミュージカルに参加してたんです。桜美林大学に入ってからはずっとストレート(台詞と演技のみの舞台)をやってたんですが、「ミュージカルやりたいな」って気持ちはずっとあって。
 
去年の終わり、風のうわさで「音楽専修の國友先生が演劇・ダンス専修に来るぞ」って聞いて、「えー!マジ!?」と(笑)
 
別のOPALにも興味があったんですけど、稽古期間が一緒で、どっちか選ばなくちゃいけなくて。「うわ、どうしよう」とめちゃくちゃ迷ったんですけど、やっぱりミュージカルをやりたいなと。

厳しい稽古の先でつかむもの

ーー稽古期間を振り返って、いちばん大変だったことは?
 
絵子さん 全部大変でしたよ…!
 
一同 (笑)
 
真凜さん 一班につきキャストが3人だと、シンプルに台詞の量、ダンスの量、歌の量がとんでもなく多くって。
 
出演者それぞれに得意なことと苦手なことがあるので。それぞれの差を埋めていく作業が難しかったです。

絵子さん 芝居・歌・ダンス、3つともできないとダメですもんね。
 
真凜さん それがミュージカルの大変なところだなと。同時に、素敵なところでもあると思うんですけど。
 
碧姫さん それに、ダンスも台詞も、キャストの誰かひとりでも欠けたら練習にならないんですよね。全員いないとテンポ感もわからない。3人でひとつに合わせていくっていうのが、いちばん大変で、いちばん楽しいポイントでもありました。

ーーそのぶん成長も感じられたのではないでしょうか。
 
真凜さん すごい成長したし…でも、私は課題がより浮き彫りになったなと。現実が…
 
絵子さん うん、うん。
 
真凜さん 全編通して、歌もダンスも芝居もコミカルからシリアスまで幅広く求められて。貴重な経験だったんですけど、そのぶん自分の苦手なこともわかって。
 
國友先生 教える側は、「その気づきを与えよう」と思ってますからね。やるからには学生に「物足りなかった」と思わせない、嫌になるぐらいの機会を提供しようと。
 
真凜さん じゃあ、思惑通りの苦しみを経験したということで(笑)
 
絵子さん・碧姫さん (笑)

高め合いながら、自分だけの持ち味を見つける

ーー絵子さんと碧姫さんは、それぞれ別の班で同じ役を演じられたんですよね。お互い、役について話したりはしましたか?
 
絵子さん 同じ役でも、それぞれの「みゆき(役名)」がいると思って。だから、そこまでぴったりは合わせなかったよね?
 
碧姫さん そうですね。わたしはそもそも芝居をやったことがなかったので、どう演じたらいいかすごく考えて、でもわかんなくて。なので、最初は絵子さんたちの演技を盗んで盗んで。
 
でも「これは絵子さんにしかできないよな、わたしじゃないよな」と思うところもあって。

絵子さん 芝居あるあるですね。
 
碧姫さん どんどん稽古をしていった結果、やっと「これがわたしとリンクするみゆきかな?」というイメージが生まれてきて。
 
「私たちにしか出せないものは、出さなきゃダメだよ。3人で頑張ろう!」って、班のふたりとも言い合っていました。
 
絵子さん 最後まで、出演者9人で協力しあえた稽古期間でしたね。
 
わたしも碧姫ちゃんや他の子の演技を見て、いいところはどうにか盗んで。みんなで高め合いたいなとずっと思っていました。

真凜さん やっぱり全ての公演で、お客さんを満足させなくちゃいけない。
 
それこそ、みんな得意不得意があるので。ダンスのことはダンスが得意な子に、歌のことは歌が得意な子に聞いたりして。
 
先生がいらっしゃらない自主練習の時間も、別の班の子たちと演技を見合ったりしてましたね。

これからも、もっと良い表現を追いかけて

ーーこれだけの経験をすると、終わったあとの喪失感も大きいですよね。
 
碧姫さん 喪失感はありました!美術さんや照明さんの作ってくださった素敵な舞台に、わたしたちは2回しか立てないのかと。もうとにかくさみしくて。

絵子さん 最初と最後しかないもんね。はじめての本番と、最後の本番。
 
ーー今後もみなさん、舞台に立っていきたいと思っていますか?
 
絵子さん そうですね。本当にこの『舞台に立ちたい』っていう作品の内容がものすごくリアルで。わたしはちょうど、来年卒業なので。「本当にこのまま表現者を続けるのか?」っていうことは、稽古中もずっと考えていました。
 
もともと裏方の仕事にも興味があったし、役者だけでやっていくのは険しい道なので、進路には迷っていて。桜美林を選んだのも、演者と裏方、どちらも学べるからでした。
 
でも結局、「やっぱり出るのが好きだな」と思って、今は役者を続けていこうと思っています。
 
真凜さん わたしも、表に立つ仕事をしたいなって思っています。
 
けっこう興味が広がりやすい傾向にあって。舞台のほかにモデルのお仕事だったり、K-POPダンスのイベントに出させていただいたりとか。ちょっとずつなんですけど、歌やMCの仕事をいただくこともあります。
 
でも、やっぱりいちばんやりたいのはミュージカルですね。

碧姫さん わたしはまだ、明確には定まっていないんですけど。
 
今回の作品では振付もやらせていただいたんです。それも楽しかったけど、やっぱり、本番の舞台にしかない「観客の皆さんと一体になれる瞬間」を味わいたい思いもあります。
 
色んなことができるのって、強みになると思うんですよ。大学でも、普段はミュージカルとは違うジャンルのダンスをやっているし。
 
自分の可能性をひとつに絞りたくないなって。色んなことができるっていうのを、自分の強みにしたいです。

プロと変わらない完成度を目指して練り上げる舞台。そのしんどさも楽しさも乗り越えた経験はきっと、表現者としてはもちろん、今後の人生にとってもプラスになるはず!
 
演技やダンスをやってみたい高校生の皆さん。数年後、OPALの舞台に立つのはあなたかもしれません。