——上村さんはスポーツ科学専攻ですが、フィールドワークもスポーツ関係のものなんですか?
上村さん はい。1年生時に、トレーナーの仕事を学ぶために埼玉西武ライオンズ・レディースの練習と試合に3日間帯同しました。
他にもいろいろなスポーツに関するフィールドワークがあったんですが、自分が高校まで野球の選手をやっていたこともあって興味があったのと、当時は将来野球に関係する仕事に就いてみたいと考えていたので、そこを選びました。
——具体的にはどんなフィールドワークだったのか教えてください!
上村さん 3日間のうち、初日は「トレーナーが何を意図して動いているのか」といったことを一から教えていただき、その上で実際の現場で見学をして「ここはもしかしてこういう意図があるのかな?」といった部分を自分たちで考えていく、という内容でした。
2日目と3日目はどちらも試合がある日だったので、実際に試合のためのアップやケアをしている様子を見学させていただいて、試合後にどのような意図を持って動いていたのかを質問したり、教えてもらったりする、といった感じでした。
——印象的だった出来事や学びはありましたか?
上村さん 前日に雨が降った日があったんですが、その日はそれまで使っていた砂のある場所でアップや練習をするんじゃなく、外野の芝生のところでやっていたんです。「なんで今日は違うんだろう?」と思って聞いたら、「グラウンドが少しぬかるんでいて、怪我をしてしまう可能性があるからだ」と教えてもらいました。
トレーナーって選手の体のケアをするイメージがあったのですが、それだけじゃなく、周りにある環境をちゃんと見ているんだと知ることができて、すごく印象的でした。
——確かに、そういう細かな動きや配慮の部分はフィールドワークで実際に見聞きしてみないとわからないポイントかもしれないですね。
上村さん まさにそうです。トレーナーがグラウンドのコンディションに合わせて練習メニューを細かく調整しているんだという気づきは、実際に見ていないとわからないことだったと思います。
前日の天気もそうですし、メニューの内容によっても使う場所が違っていたりして。そういう様子を見て「なんでだろう?」と疑問に思うことが、「なるほど!」という学びに繋がっていくんだなということを、実際にフィールドワークを経験して感じました。
——メニューの内容というのは、例えばどういうものだったんですか?
上村さん 「ストップ系」と呼ばれるような、ダッシュしてパッと止まって動きを切り替えていくような練習があるんですが、そういうものをする場合は芝生だと滑りやすいことがあるので砂のある場所に移動していたり。逆に、ちょっと回る感じの練習や、「ラン系」の練習をやる場合は、クッション性のある芝生に移動したりして、怪我の予防をしていました。
——上村さんが選手として練習していた時とは違う視点での気づきがあったんですね。
上村さん そうですね。当時は言われたことをやっていただけだったので、「どういう意図があってその練習をしているのか」は全然知りませんでした。もし、自分が野球の選手だった頃にもそういう意図をわかっていたら、きっと同じ練習をする中でももっといろいろな効果があったんじゃないかなと思ったので、自分が指導者になった時にはちゃんと説明できるようにしておきたいなと思いましたね。