キャンパスライフの参考あれこれ

「自分で行って確かめる」ことを身につけた先輩に起こった変化とは?健康福祉学群のフィールドワーク体験談

桜美林大学の健康福祉学群では、2023年度から学生によるフィールドワークを推進しています。
 
フィールドワークとは、研究者などが社会や地域でおこなわれていることを調べるため、「野外(フィールド)に出て、調査(ワーク)する」というもの。桜美林大学では、「健康・スポーツ」「地域交流」「食」「子ども支援」「高齢者や障害(児)者支援」など、さまざまな分野での50カ所以上のフィールドに参加することができるようになっています。
 
今回は、健康福祉学群スポーツ科学専攻3年生で、野球・ソフトボールをもとに生まれた競技「Baseball5部」のメンバーでもある上村将大さんにお話を聞きました!

目次
  • PROFILE
  • 「なんでだろう?」が「なるほど!」に変わったフィールドワーク
  • 「実際に行って体験すること」の大切さを知ってから、人生が変化した
  • 大学生活は自由で貴重な時間。だからこそ1回はフィールドワークに行った方がいい!

プロフィール

上村 将大さん

【学群】健康福祉学群
【専攻】スポーツ科学専攻
【学年】3年生(※2025年度現在)
【所属】Baseball5部

「なんでだろう?」が「なるほど!」に変わったフィールドワーク

——上村さんはスポーツ科学専攻ですが、フィールドワークもスポーツ関係のものなんですか?
 
上村さん はい。1年生時に、トレーナーの仕事を学ぶために埼玉西武ライオンズ・レディースの練習と試合に3日間帯同しました。
 
他にもいろいろなスポーツに関するフィールドワークがあったんですが、自分が高校まで野球の選手をやっていたこともあって興味があったのと、当時は将来野球に関係する仕事に就いてみたいと考えていたので、そこを選びました。
 
——具体的にはどんなフィールドワークだったのか教えてください!
 
上村さん 3日間のうち、初日は「トレーナーが何を意図して動いているのか」といったことを一から教えていただき、その上で実際の現場で見学をして「ここはもしかしてこういう意図があるのかな?」といった部分を自分たちで考えていく、という内容でした。
 
2日目と3日目はどちらも試合がある日だったので、実際に試合のためのアップやケアをしている様子を見学させていただいて、試合後にどのような意図を持って動いていたのかを質問したり、教えてもらったりする、といった感じでした。

——印象的だった出来事や学びはありましたか?
 
上村さん 前日に雨が降った日があったんですが、その日はそれまで使っていた砂のある場所でアップや練習をするんじゃなく、外野の芝生のところでやっていたんです。「なんで今日は違うんだろう?」と思って聞いたら、「グラウンドが少しぬかるんでいて、怪我をしてしまう可能性があるからだ」と教えてもらいました。
 
トレーナーって選手の体のケアをするイメージがあったのですが、それだけじゃなく、周りにある環境をちゃんと見ているんだと知ることができて、すごく印象的でした。
 
——確かに、そういう細かな動きや配慮の部分はフィールドワークで実際に見聞きしてみないとわからないポイントかもしれないですね。
 
上村さん まさにそうです。トレーナーがグラウンドのコンディションに合わせて練習メニューを細かく調整しているんだという気づきは、実際に見ていないとわからないことだったと思います。
 
前日の天気もそうですし、メニューの内容によっても使う場所が違っていたりして。そういう様子を見て「なんでだろう?」と疑問に思うことが、「なるほど!」という学びに繋がっていくんだなということを、実際にフィールドワークを経験して感じました。

——メニューの内容というのは、例えばどういうものだったんですか?
 
上村さん 「ストップ系」と呼ばれるような、ダッシュしてパッと止まって動きを切り替えていくような練習があるんですが、そういうものをする場合は芝生だと滑りやすいことがあるので砂のある場所に移動していたり。逆に、ちょっと回る感じの練習や、「ラン系」の練習をやる場合は、クッション性のある芝生に移動したりして、怪我の予防をしていました。
 
——上村さんが選手として練習していた時とは違う視点での気づきがあったんですね。
 
上村さん そうですね。当時は言われたことをやっていただけだったので、「どういう意図があってその練習をしているのか」は全然知りませんでした。もし、自分が野球の選手だった頃にもそういう意図をわかっていたら、きっと同じ練習をする中でももっといろいろな効果があったんじゃないかなと思ったので、自分が指導者になった時にはちゃんと説明できるようにしておきたいなと思いましたね。

「実際に行って体験すること」の大切さを知ってから、人生が変化した

——フィールドワークには座学の時間もありますよね。そこでの気づきや印象的だった学びについても教えてください。
 
上村さん 座学では、フィールドワークに行って気づいたことをそれぞれの学生が発表することが多いんです。自分が行った先以外での体験を聞いていても気づきがあって、「世の中には知らないことがたくさんあるんだなぁ」と毎回思います。
 
あとは、フィールドワークに行く前の座学で、先生が「今はどんな情報もネットで見れるけれど、肌で感じないとわからないことがある」とずっと言っていて。正直、「いや、行かなくてもわかるっしょ」と思っていたんですが(笑)、実際に行ってみて本当に気づくことがあったので、あれは本当だったんだなって思いました。
 
それが1年生の春学期だったのですが、それから興味を持ったことには「直接見に行って体験する」ということを大切にするようになって。自分で確かめて行動することでいろいろな経験ができて、人として成長することができたなと思います。
 
——「自分で確かめて行動する」って、大人でもなかなかできることじゃないと思います。これまで、どんなことをしたのか聞いてもいいですか?
 
上村さん たまに、1人で色んなチームの練習の見学に行っているんです。それまでは動画を見て「こういうトレーニングがあるんだな」と思って終わっていたんですが、実際に行ってみると気づくことがたくさんあります。
 
例えば、そのチームの雰囲気も実際に行ってみないとわからないし、雰囲気作りとか、熱量の生み出し方みたいな部分も、メンバーやキャプテンがどんな風に声をかけているのか、見学していると知ることができます。
 
僕も2年生の頃に、Baseball5部のチームワークをどう作ればいいか悩んでいたのですが、活発なチームの見学に行ったら声かけの熱量がすごくて、これが大事なんだと。「動画じゃ全然わからないことがあるんだな」と痛感しました。

——上村さんがその時学んだのはどんなことだったんでしょうか。
 
上村さん Baseball5部は全員が同学年だったこともあって、上下関係が無い中で、どんな風にみんなを引っ張っていけばいいのか悩んでいました。当時の僕は、「自分が上手くなっていけばチームもついてくるだろう」と思っていたのですが、それでは全然上手くいっていなかったんです。
 
でも、気になったチームの見学に行ってみたら、キャプテンらしき人が「誰に対しても全部言葉にして伝える」ということをやっていて。僕は言葉で伝えることを面倒だなと思って避けていたのですが、やっぱり言葉で言わないとわからないんだな、「ちゃんと見てるよ」って伝えないといけないんだなと学びました。
 
良い雰囲気で活発に動いているチームの空気を実際に感じたことで、「こういう空気に持っていけばみんな意欲的になってくれるのかもしれない」と思って。その後、自分の行動を変えてきて、3年生になった今、チームがとても良い雰囲気になっています。
 
——フィールドワークで学んだことが授業以外の場所でも活きているんですね。
 
上村さん はい。フィールドワークでの体験以降、自分が気になったことに対して躊躇なく「行って学んでみよう」って思えるようになったのは大きいです。「ネットで調べるだけで済まさない」という習慣は、今後の人生でも役に立つんじゃないかなと思います。

大学生活は自由で貴重な時間。だからこそ1回はフィールドワークに行った方がいい!

——今の上村さんの、将来の目標を教えてください!
 
上村さん 今はBaseball5で日本代表になることが目標で、まずはそこに向けて頑張ってみようと思っています。
 
9月に香港で試合をするんですが、行くか行かないかの選択肢がある時に、僕は躊躇なく「行きます!」って言えて。多分これもフィールドワークでの学びの延長線上で、「海外の試合ってどんな感じなんだろう」っていうことを身をもって体感できるチャンスだなと捉えられたんですよね。
 
日本代表という目標に向けてもいろいろな選択肢が出てくると思うんですが、そういう時にも迷わず行動できる自分になれているのは、自分自身に対して「心強いな」と思います。
 
——最後に、フィールドワークが気になっている方へメッセージをお願いします。
 
上村さん 大学生活の中で、絶対に1回はフィールドワークに行った方がいいと思います。自分が3年生まで過ごしてきて、社会人の方ともよく関わっている中で、僕たちが今過ごしている大学生としての時間って、本当に自由で貴重な時間なんだなってすごく感じています。その自由な時に、いろんな経験をしておかないと、社会人になったらやりたくてもできないことがたくさんあると思うんですよね。
 
授業の最初は座学が多くて、正直「面白くないな」と思う人もいるかもしれないんですが(笑)、途中からフィールドワークに行く先をリストから選んだりして実感が出てくると思うし、絶対に面白くなるので、「ぜひ大学生活という自由な時期に、一度は行ってみてください」と伝えたいです。