——さっき、「フィールドワークならではの難しさもあった」と話していましたが、具体的に聞いてもいいですか?
SATOIさん 自分よりもある程度下の年齢の子どもたちと話すことになるので、「いつも通りの話し方でいいのかな」とか、「この言葉だったらわからないんじゃないかな」とか、変なブレーキがかかってしまって。どうコミュニケーションをとったらいいのか、どうやって勉強を教えたらいいのかがわからなくなってしまうということがありました。
あとは、ただ見学をしている時でも、「どういう顔でいればいいんだろう」みたいなことをよく考えました。そこにいる子どもたちはさまざまな事情を抱えていて、それぞれ何らかの苦しい思いをしてきている子たちです。だからこそ「急に外からきた知らない人が横に座ってるのを、どう感じるんだろう」とか、「どれくらい声をかけていいんだろう」とかいったように考えてしまって、現場で子どもたちと対面するからこそ感じる難しさがありました。
——なるほど…。そうした気持ちをどうやって消化していくのでしょうか。
SATOIさん フィールドワークが終わったあとに発表をする時間があります。その発表準備でも気づいたことをまとめていく必要がありますし、普段からフィールドワークの記録である「フィールドノート」に感じたことや疑問を書き込むことで、気持ちを整理していました。毎回何十ページにもなるくらい、色々なことを肌で感じて考えていましたね。
それからも色々な経験を重ねてきた中で、最近になってようやく、「こっちが緊張していたら相手も緊張しちゃうから、ありのままの自分で接することが大切なのかもしれないな」と思えるようになってきました。
——フィールドワークには発表もあるんですね!SATOIさんはコミュニケーションに苦手意識があったと言っていましたが、発表についてはどう感じていましたか?
SATOIさん 正直、高校生の頃は発表なんて一番苦手で…。でも、1年生の6月くらいには、一緒にフィールドワークに行ったメンバーと話し合いながら、スライドを準備したりして発表にのぞめていました。健康福祉学群ではグループワークをする機会もあるので、人と話すということに慣れやすいのかもしれません。
今は3年生で、数えきれないほど発表の場に立ってきました。いまだに緊張はするんですけど、そうは見せない技術が身に付いたというか(笑)。「今日は緊張して上手く話せなかったな」とか、「ここはもう少しこうしたら良かったな」とか、毎回振り返りながら改善していくくらいの余裕は持てているように思います。