先輩オベリンナー訪問
授業での衝撃的な出会いが、「納豆インフルエンサー」につながった なっとう娘 鈴木真由子
UPDATE 2023.2.22
ビジネス、芸能、学問など、各界で活躍する先輩オベリンナー(桜美林の在学生や卒業生の総称)たち。彼ら・彼女らはどんな学生生活を送っていたのか、現役オベリンナーが聞きました。今回は、「なっとう娘」こと鈴木真由子さん(2019年度 リベラルアーツ学群卒業)。「納豆インフルエンサー」として活動する彼女の原点は、大学時代にあった!?
ビジネス、芸能、学問など、各界で活躍する先輩オベリンナー(桜美林の在学生や卒業生の総称)たち。彼ら・彼女らはどんな学生生活を送っていたのか、現役オベリンナーが聞きました。今回は、「なっとう娘」こと鈴木真由子さん(2019年度 リベラルアーツ学群卒業)。「納豆インフルエンサー」として活動する彼女の原点は、大学時代にあった!?
なっとう娘さんの経歴:
900種類の納豆を食べ歩いた納豆インフルエンサー。
納豆に関する「Hanako.Tokyo」でのコラム執筆や、近畿大学、納豆会社SOYFFEEとの商品開発など、納豆を軸に幅広く活動中。「ヒルナンデス」「スクール革命」など多数のテレビ / ラジオ出演あり。
聞き手:
阿藤さん(ビジネスマネジメント学群 3年)
普段どれくらい納豆を食べてるんですか?
1日2、3パックかなあ。最近は食べる量減らしちゃったんですよね。
じゅうぶん多いです(笑)。
あはは!以前は1日6パック食べてたんですよ。でも、納豆も食べすぎると健康によくないので、ちょっと控えてます(笑)。納豆って、約3,500種類あるって言われてるんですけど、これまで900種類は食べてきましたね。
900種類…!すごいなあ。あらためて、「納豆インフルエンサー」ってどういう活動をしてるんですか?
「こんな納豆があるよ!」とか、「こんな食べ方あるよ!」みたいな納豆情報を発信してます。具体的にやっていることは、「納豆天国」っていう納豆のECサイトの運営ですね。全国の納豆とか、私がいま着てる「納豆天国」みたいな納豆グッズを販売してます。
Tシャツ、すごくかわいいです!
わー、ありがとうございます!あとは、納豆に関する商品開発もやってます。以前は環境に配慮した納豆パックを世に生み出す「natto pack2.0」プロジェクトをやったり、最近は「NATTO JERKY(ナットウジャーキー)」とか「納豆チョコ」を、企業や大学と連携しながら開発してますね。
プロフィールには「”自分の存在価値”を実感しやすい社会づくり」を目指しているって書いていましたよね。
あ、はい!すごい、そこまでみていただいて。
いえいえ。でも、「納豆」と「社会づくり」がどう結びつくのかがピンときていないんですが…
納豆って、社会問題とすごく関係してるんですよ。たとえば発泡スチロールのパッケージがゴミになってしまったり、スーパーで余った納豆は廃棄されてしまったり、農家の後継者問題もあったり。逆に言えば納豆は、多くの人が社会問題に興味を持つきっかけになると思ってるんです。
ああ、なるほど!
あと、最近よく「日本人は自己肯定感が低い」って言われるじゃないですか。「くさいものには蓋をしろ」って言葉がありますけど、「自分はこれが好き!」ってものがあっても、人と違うとまわりが受け入れてくれない。そうやって我慢してるうちに、自己肯定感が下がっちゃってるんだと思うんです。
その点、納豆ってまさに「くさいもの」ですよね。「納豆が好き!」って大声で言いづらい雰囲気ってありません?
わかる気がします。
だからこそ、私が「納豆が好き!」って言い続けたら、周りの人も「自分の個性を出していいんだ!」って思えるんじゃないかなって。なっとう娘としての活動が、みんなが個性を受け入れられる社会に少しでもつながったらいいなって思ってるんですよ。
桜美林大学時代はリベラルアーツ学群で、コミュニケーション学を専攻していたそうですね。どうして桜美林大学に入ろうと?
高校時代から、海外へ行ってみたいなあとふんわり思っていて。留学制度が充実していて、留学生がたくさんいる大学を探しているなかで、桜美林大学を見つけたんです。
実際に留学もしたんですか?
行きました!1年生の時に、「LAGO」に参加して。
大学の留学プログラムですね。
はい。仲良くなった同期の学生のなかにも、4月に入学して、7月には留学に行く、みたいな人が多くて。だから私も、3ヶ月半ニュージーランドに行くことにしたんです。
行ってみて、どうでしたか?
かなり価値観が変わりましたね〜!たとえば、ホストファミリーに質問されるのって、お箸の使い方とか富士山のことかな?と思ってたんですよ。そしたら「進学率はどうなの?」とか「労働時間ってどれくらいなの?」って、日本のことをめちゃくちゃ聞かれて。なにひとつ答えられなかったですね。全部ググる、みたいな(笑)。
自分が生まれ育った国のことを答えられないのが情けなかったし、ホストファミリーも「知らないんだ…」ってびっくりしてて。これは、もうちょっと日本や社会のことについて知らなきゃいけないな…って痛感したんです。
その頃から、社会問題に興味を持ち始めたんですね。
はい。すごく大きい出来事だったのが、2年生のときに受けた「異文化コミュニケーション」っていう授業で。先生が突然、知り合いのシリア難民の方を連れてきたんですよ。私と同い年くらいなんですけど、内戦を逃れて日本に来たものの、日本に住み続ける権利をもらうのが大変で、いつ国に帰されちゃうか分からない方だと。
その方の話が、本当に衝撃的だったんですよ。講義中に電話がかかってきて、どうしたんですか?って聞いたら、「内戦のせいで親戚が亡くなったみたいです」と。「えっ、戦争がそんなに身近にあるの…?」って、すごくショックで。
その方に、「やりたいことってなんですか?」って聞いてみたんですね。そしたら、「いつか自分の国に帰ったら、復興のために何かしたいんだよね」って。自分のことより、社会のことを考えてたんですね。そういう話を聞きながら、私めちゃくちゃ号泣しちゃって。
号泣っていうのは、どんな気持ちだったんでしょう…?
なんだったんでしょうね…今まで自分とは関係のない話だと思ってた悲惨な状況を、目の前の、自分と同い年の人が経験してるわけじゃないですか。もし自分がこの人だったら、どういう気持ちで今、話してるんだろうって。
なかには教室の後ろの方で興味なさそうにしてる学生もいたんですよ。この方は、そういう学生の姿を見ながら「たった一人だけでも手を差し伸べてくれる人がいたらいいな」って思ってるのかな、とか。だとしたら、私にできることはなんだろう…って考えてました。その授業がきっかけで、社会問題に関わる活動をしはじめたんです。
学生時代から社会問題に関わる活動をしていたんですね。
はい。本当に「社会問題ひとすじ」って感じでしたね。ボランティアでフィリピンに3週間行って、お家を建てる手伝いをしたりとか。あとは、日本でホームレスの方のための炊き出しとかバザーに参加したりもしてました。
本や授業で学ぶだけじゃなくて、実際に行動しているのがすごいですね!
やっぱり本や授業で知ることと、実際に目で見て体験することはぜんぜん違うんですよ。たとえばフィリピンである村に行ったとき、その村では海にゴミを捨てるのが当たり前で。ヘドロみたいな色をした海水のなかを、子どもたちが泳ぎまわっていたんです。
だから、私たちは「ゴミをゴミ箱に捨てる」っていう文化を教えに行ったんですけど、その村の人はめちゃくちゃ幸せそうなんですよね。海にたくさんゴミは浮いてるけど、お互い助け合って生活していて、目がキラキラしていて。
そんな姿を見て、「幸せってなんなんだろう?」って考えちゃいました。日本は衛生的な環境かもしれないけど、精神的に病んでしまう人もたくさんいる。それでいいのかなあ、とか。実際に現場で体験することで、社会問題についてより深く考えられるようになりましたね。
学生時代には休学もされたとか。
そうなんです。大学4年生になるころ、まわりのみんなは就活を始めてるけど、私は自分がなにをやりたいのかがぜんぜんわからなくて。だから、考える期間をとろうと思って1年間休学したんですね。
休学中に何社かインターンをしたんですけど、そのなかのひとつが、「食」を通じて人や地域をつなげる事業に取り組むベンチャー会社でした。社会課題に興味を持つ人ってひと握りですけど、「食」をきっかけにすればたくさんの人たちに興味を持ってもらえるんじゃないかと思って、やってみることにしたんです。
あるとき、その会社の社員さんに「好きな食べ物なに?」って聞かれたから、何気なく「納豆です」って答えたんですね。小さい頃からずっと納豆が好きだったので。っていっても、皆さんと同じくらいの熱量の「好き」だったと思うんですけど。
めちゃくちゃ納豆が好きだった、っていうわけじゃないんですか?
1日何パックも食べるようになったのは、「納豆インフルエンサー」を名乗り始めてからです。それまでは、「納豆って、美味しいよね〜」くらいの感覚だったと思います(笑)。
だからそんなに強い思いで言ったわけじゃないんですけど、社員さんに「じゃあ、納豆のイベントやってみなよ!」って言われたんですよ。確かに面白いかもしれない!と思ったから、いろんな納豆を食べ比べするイベントとか、納豆料理を作るイベントを開いたりして。そうするうちに、「納豆ってこんなに奥が深いんだ!」って、ハマっちゃったんです。
へえ〜!じゃあ、その方の一言がなかったら、なっとう娘さんは誕生してなかったかもしれないんですね。
そうですね〜、ほんとに!ぜんぜん違う人生を歩んでたかもしれない。あとでその方に「私、新卒でフリーランスになって、納豆インフルエンサーをやります!」って言ったら、「え、大丈夫…!?」って心配してましたけどね(笑)。
新卒でフリーランスになったということは、就活はしなかったんですか?
あ、ちょっとだけやってました!第一志望の最終面接までいったんですけど、試験をすっぽかしちゃったんですよ(笑)。
ええ!第一志望なのに!
OBOG訪問させてもらった方から「今日の試験どうだった?」ってメールが来て、「え、今日だったの!?」って気づいたんです(笑)。そのときはめちゃくちゃ泣きましたけど、その失敗がなかったらなっとう娘になってないわけで。いまとなっては運命だったんだな〜って思いますね。
留学や授業での難民の方との出会いやインターンなど、桜美林大学時代の経験がなかったら、今の活動はしていないかもしれないんですね。
本当にそうだと思います。桜美林大学の自由な雰囲気だからこそ、入学後すぐに留学に行けたり、授業でシリア難民の方の話を聞くことができたと思うので。
最後に、桜美林大学を受験しようと考えている方に、なにかメッセージはありますか?
私は、自分の視野を広げるチャンスがたくさん転がっているのが桜美林大学だなって感じています。実は入学する前は、「チャラい人が多いのかな?」みたいなイメージもあったんですけど(笑)。
あ、そうなんですか(笑)。
そうそう。でも実際に入学してみたら、そんなことなかった。楽しく明るく学生生活を送っている人もいれば、自分が興味のあることを学ぶためにいい意味で大学を使い倒している人もいて。先生も協力してくれるし、職員の方も何か困ったことがあればすごく親身に相談に乗ってくれます。
だから、私は本当にこの大学に入って良かった。のびのびとした大学生活を送りたいなとか、自分の可能性を広げていきたいなって思っている方は、ぜひ桜美林大学に入って欲しいなって思ってます。
2023年1月16日取材