コラム

航空学群のゼミってどんなことが学べるの?先生や先輩の話を聞きに行ったら、想像以上にプロフェッショナルだった!

UPDATE 2025.3.19

航空学群は、業界出身の教授陣による専門性の高いゼミも魅力!

ゼミは、自分が関心のあるテーマを選び、研究や発表、ディスカッションや課外活動を行う「演習型」の学びが特徴。先生の解説が中心の「講義」とは一味違って、大学生ならではの能動的な学習スタイルです。

桜美林大学の航空学群では、3年生の春学期からゼミを履修することが可能。航空業界で活躍してきた先生方の研究を間近で感じられるのは、ゼミならではの魅力です。所属するコースに関係なく選択できるのもポイント!

今回は、そんな多種多様な航空学群のゼミを知ってもらうべく、2つのゼミの先生と先輩たちにお話を聞きに行ってきました!

目次
  • ITの最先端技術やものづくりに興味がある人に!伊藤ゼミ
  • 航空業界を幅広い視野で学びたい人に!扇山ゼミ
  • ゲストスピーカーによる特別講義にも潜入してきました!
  • 航空業界に特化した学びを、現場経験を持つプロから直接学べる。それが航空学群!

ITの最先端技術やものづくりに興味がある人に!伊藤ゼミ

左から、航空・マネジメント学群3年 高野さん(航空機管理コース)、伊藤貢司先生、航空・マネジメント学群3年 山本さん(航空機管理コース)

Q1:伊藤先生のゼミの特徴を教えてください!

  • 伊藤先生

    ウチのゼミは、ひとことで言うと「何かを作り出すゼミ」です。ソフトウェアや3Dモデルなど、最先端の技術に挑戦しながらみんなでものづくりをしています。

    分かりやすいのは、桜美林大学が鳥人間コンテストに出場した際の機体の部品です。学生がパソコンでモデリングし、3Dプリンタで成形したんですよ。

Q2:おすすめポイントはありますか?

  • 伊藤先生

    他にも空飛ぶクルマなど、世の中で話題になっている最先端技術に触れられる点ですね。「未来の技術につながるようなものを実際にやっちゃおう!」というのを目指しています。

Q3:先輩たちがこのゼミを選んだ理由は?

  • 高野さん

    以前からドローンに興味があって、伊藤先生が研究されている内容を「面白そう!」と思ったのがきっかけです。ドローンの位置情報をリアルタイムで取得し、3D地図を使って交通量を可視化する技術を研究していると知り、その内容に魅力を感じました。

  • 山本さん

    僕はもともと3Dモデリングを独学で少しやっていたので、その知識をレベルアップさせたいという気持ちがあったのと、VRゴーグルを自分で買っちゃうくらい最先端技術が好きなので「このゼミしかない!」と思って真っ先に伊藤先生に連絡しました!

山本さんがゼミでゼロから作成した飛行機の3Dモデル。伊藤先生も大絶賛!

Q4:ゼミはどんな雰囲気ですか?

  • 山本さん

    和気あいあいと仲良くしています!あと、先生が教室からいなくなることも多いです(笑)。

  • 伊藤先生

    僕の最大の役目はみんなが悩んだときに「こっちだよ」と案内することなので、基本的には放任主義なんです(笑)。それに今は生成AIが進んでいるので、細かいことも聞けば大体解決できちゃいますしね。なので「生成AIにはこうやって使うんだよ」というのをまずゼミ生には教えています。

  • 山本さん

    先生が最初に生成AIの活用方法を教えてくれたおかげで、最近は結構使いこなせるようになってきました!

Q5:ゼミでの学びで印象的だった内容は?

  • 高野さん

    自分でプログラミングした内容が想定通りの動作をしたときです。プログラミングをして実際にドローンを飛ばすのですが、僕は伊藤ゼミに入るまでプログラミングをしたこともなくて、何度やってもうまくいかず……。試行錯誤してできた瞬間は、自分のアイデアを形にできたことに感動しました。

  • 山本さん

    ほとんど同じかも。僕は、カメラを利用して飛行機の操縦シュミレーターの座標を読み取って3次元的にマッピングするシステムを作ったのですが、意図していないプログラミングのエラーが沢山出てきて……。その度に直しては乗り越えてを繰り返して、ここ最近データを読み取れるようになってきたので、達成感があります!

Q6:どんな学生が向いていると思いますか?

  • 伊藤先生

    失敗してもいいので、好奇心旺盛で、夢を持てる人ですね。

  • 高野さん

    航空分野やドローン技術を研究してみたい人、仲間と協力して目標を達成できたり、楽しんで物事に取り組める人におすすめです!

  • 山本さん

    ものづくりをするので、計画的に物事を進めていくスキルを磨きたい人!僕が所属している航空機管理コースで学んだ技術管理や生産管理が活きてくると思います。もちろん航空機管理コース以外の学生もいますよ。

航空業界を幅広い視野で学びたい人に!扇山ゼミ

左から、航空・マネジメント学群3年 望月さん(空港管理コース)、扇山徹先生、航空・マネジメント学群3年 中野さん(航空管制コース)

Q1:扇山先生のゼミの特徴を教えてください!

  • 扇山先生

    理想的な空港での業務やオペレーションコントロールについて、安全とサービスを切り口に研究しています。

    航空業界で話題になった事例を取り上げて、自分がその立場だったらどう対処するかを、グループディスカッションしたりもします。

    私は学生一人ひとりが航空業界の将来を担う人材になってほしいと思っているので、そのために航空・運輸業の地上支援業務(パイロットや客室乗務員ではない業務)から学んでいくイメージですね。

Q2:おすすめポイントはありますか?

  • 扇山先生

    私自身が航空業界に長く在籍していたので、実態に即した話ができることです。また、航空会社のゲストスピーカーに生の話をしてもらうことで、どんな風に航空運輸が動いているのかを学生に感じてもらえるのも魅力だと思います。

Q3:先輩たちがこのゼミを選んだ理由は?

  • 望月さん

    僕は大学に入る前から空港のオペレーションに興味があり、空港管理コース(旧:空港マネジメントコース)で空港を取り巻く環境について学んでいるので、扇山先生のゼミが公開されたときに「絶対に入りたい!」と思っていました。

  • 中野さん

    私は募集要項の「海外に興味がある人」という点に惹かれてました。先生の経歴を拝見して航空業界について幅広いご経験がある先生なんだと知り「サービスという観点でも航空業界を知れるゼミならここだ!」と思ったのが理由です。

Q4:ゼミはどんな雰囲気ですか?

  • 望月さん

    お互いに助け合えるような環境です。違うコースの友人たちとゼミを通してつながれたのも、ゼミに入ってよかったことですね。

  • 中野さん

    ゼミでグループディスカッションのときも、コースごとで普段学んでいる授業が違うので、それぞれの視点で話せるのが面白いなと思っています。

  • 扇山先生

    うんうん。私としては、学生たちを航空業界の後進に送り込みたいという野望があります。そのためにゼミ生の才能を引き出しながら、就活もサポートできればと思っています。

Q5:ゼミでの学びで印象的だった内容は?

  • 望月さん

    日本航空株式会社のIOC(インテグレーテッド オペレーションズ コントロール)という、24時間体制でJALグループの航空機を集中管理している場所の見学をさせてもらったことです。扇山ゼミにいたからこそ経験できた貴重な機会で、感動の一言でした!実際に飛行機はないけれど、そこで現場とつながっているのを感じられました。

羽田空港第3ターミナルのジェイ・エス・エス社を訪問したときの一枚

JALオペレーションセンター(IOC)を見学したときの1枚①

JALオペレーションセンター(IOC)を見学したときの1枚②

  • 中野さん

    航空業界で活躍しているゲストスピーカーのお話を聞いたのが印象に残っています。女性のミッションディレクターさんが、気象の影響によってどんな風に航空機を管理しているかという話をしてくださって。それぞれの立場で幅広く物事を考えられる視点って大事なんだなと思いました。

Q6:どんな学生が向いていると思いますか?

  • 扇山先生

    接客が好きな人、オペレーションコントロールに関心がある人、海外で仕事をしてみたいと思っている人が向いていると思います。

  • 望月さん

    航空業界で働くことのイメージを、より解像度高く知りたい人。現場の生の声を伺うことで、現場の様子が頭の中に描けるようになることが、扇山ゼミの特徴だと思います!

  • 中野さん

    航空業界の幅広い分野に興味を持って、全体的な視点で物事を捉えてみたい人におすすめです。私は航空管制コースに在籍しているのですが、管制官の視点だけじゃなく現場でどんなことが起きているのかを想像できることが、人には負けない強みになるかと思っています!

ゲストスピーカーによる特別講義にも潜入してきました!

航空業界で現役で働いているゲストスピーカーを招いた特別講義も開催している扇山ゼミ。他のゼミの学生も有志で参加できるので、航空業界でのお仕事のイメージを膨らませる絶好の機会になるはずです!

この日は2016年に桜美林大学を卒業し、株式会社JALスカイに入社して、現在日本航空株式会社のIOCでロードコントロールという職業に就いている先輩のお話を聞くことができました!

2016年の卒業生で、株式会社JALスカイに新卒入社した丹野悠奈さん

丹野さん:私が桜美林大学で学んでいた頃は、航空学群もこの多摩キャンパスもなかったので、こんな充実した環境で航空業界のことを学べる環境がすごく羨ましいです!ましてや扇山先生の現役時代は、雲の上のような存在の大先輩だったので…そんな方から近い距離で学べるなんて!学生の皆さんにはぜひたくさん吸収して、航空業界で働くという夢を実現してほしいです!

航空業界に特化した学びを、現場経験を持つプロから直接学べる。それが航空学群!

航空学群には、先生方それぞれの専門的な研究を学べるゼミが他にもたくさんあります!「他の先生方のゼミも気になる!」という方は、以下の内容も参考にしてみてくださいね。
 
 
※2025年度 航空学群 「専攻演習」履修案内より一部抜粋
 
 
相原弘明先生「環境問題と航空分野の取組みの研究 」
 
環境問題について国と地域、航空分野、地域社会、大学、日常生活のそれぞれの取り組みついて調査し、課題と問題を整理し発表する。メンバー同士でグループディスカッション、発表に対する質疑&講評を行い、相互理解を深める。書籍、文献だけでなく、国土交通省、環境省、東京都等が公開する情報や主催するシンポジウム等を活用する。また環境にやさしい生活を実践する。
 
 
神戸清行先生「信頼性管理手法を用いた航空機操作訓練シラバスの研究」
 
航空機の地上、運航中に想定される種々のイレギュラーの原因探求、改善に、信頼性管理手法を用いる研究を行う。A320APT や研究用操縦シュミュレーターなどを使用し、運航、整備、管制の要件が総合的に関連した航空機操作訓練シラバスを作成する。さらに模擬訓練を行い、効果を検証する。
 
 
坂倉潤一先生「航空会社の SMS 構築、安全に関わるマネジメントの研究」
 
航空分野では、2006年のICAOのSMMの制定、「輸送の安全性向上」の法制化以降、安全管理システムの重要性が更に認識され、各国また各分野において組織的な取り組みが行われてきた。しかしながら、例えば最近の話題でいえば、自動車分野等で製品データの捏造、不安全事象の隠蔽が多くの会社で繰り返し発生しており、また航空業界でも不安全な事象が繰り返し起こっている。安全、安心な航空機を提供するためには、将来どのように安全管理システムを構築、機能させて運営していくことが望ましいか、現状を調査すると共に課題を見つけ、自分なりの見解を持つことを目指す。
 
 
谷口安弘先生「サステナブルな航空業界の実現に向けた航空管制のあり方」
 
SDGsの取り組みが加速する中で、航空管制で注目されている航空交通量の最適化に向けた2つのテーマから研究を進める。
 
テーマ①:国家戦略の一つである観光立国の実現に向けて、国際航空路線の開設や増便等のための空港の発着容量拡大可否および方策の検討
 
テーマ②:カーボンニュートラルの実現に向けて、管制の高度化によるCO2削減に関する航空交通の最適化
 
 
狭間達也先生「無限のように思えていた空の広がりも無限ではなかった。」
 
「航空管制とは何か?」を学習し、空域、航空交通管理、行政、経済活動の知識を身に付け、空港を始めとした航空関連だけでなく、社会の様々な業種、さらには国際的にも活躍できる人材を育成する。
 
・日本では数少ない空域、航空交通管理の知識を持つ人材として、将来、航空界のみならず、社会で活躍の場を広げることができる力量を身に付ける。
 
・ヒューマンファクター、安全管理、TRM 等の学習を生かし、社会活動の場において、将来、マネージメント能力を発揮できる人材となる素養を身に付ける。
 
 
藤田友香先生「気象が関連する様々な分野について」
 
私たちの生活に密接に関わっている気象を通して、気象に関する知識を深めるとともに、将来に活かせる能力・問題を解決する力・知識を応用する力・物事を考える力・わかりやすく伝える力・情報を判断する力を養う。
 
 
森田玉雪先生「航空産業の未来を交通経済学の視点から考える」
 
・交通経済学の視点に基づいて航空産業の現状を分析し、航空産業の今後のあり方について展望を持つことを目標とする。
 
・毎週、報告と議論を行う。
 
・社会に出てからも有用となる、実践的な問題発見能力、問題解決能力、プレゼンテーション能力(論文の書き方、効果的なスライド発表のやり方)を身に付ける。
 
 
湯本到先生「明日の日本を支える空港側応需能力について」
 
2003年の政府の観光立国宣言以降、訪日旅行者数は近年急速に増加してきたが、突如航空業界は新型コロナ感染症による長い需要消失に直面した。2023年、新型コロナの5類移行により事実上収束した後、訪日需要はV字回復を遂げている。
 
一方近年、インバウンド旅客を担う航空会社等の復便や新規就航にあたって、空港やターミナルビルの容量不足やグランドハンドリングの人材不足が顕在化してきていた。
 
航空会社の新規就航や増便にあたっては、当該空港の発着枠に加え、グランドハンドリングや航空燃料の確保が必須であるが、とりわけ増加する近距離国際線に都合の良い運航時間帯は集中することもあり、役務提供会社にとつては、自社便や既存の受託社便に割かれているリソースを、新規就航会社に振り向けることも難しくなつており、需給逼迫がもたらすサービス費用の高騰もあって、就航に二の足を踏む航空会社もある。
 
空港発着容量やターミナルビルなどのハード面においては、処理能力向上のため様々な工夫による機能強化策が不可欠となっている。これら空港やグランドハンドリング会社の経営や処理能力についての現状や解決策についての事例収集と調査・研究を進めていくとともに、チーム内の交流や、プレゼンテーションを通して、コミュニケーション能力の向上を目指す。
 
 
義本正実先生「理想的な空港運営、空港経営を考える」
 
・人々から求められる理想の空港像に対して、学生が様々な視点から現在の課題を発見し、自分オリジナルの解決案を提案する
 
(研究対象の例)滑走路、誘導路に関する研究 / エプロン、スポットに関する研究 / 空港のサービスに関する研究 / 空港全体のシステムに関する研究 / 空港に関わる事柄の研究